「野点(のだて)」とは、屋外の風情を楽しみながら、お茶を点てること。
茶室から離れ、自然の中に身を置くことで茶道の作法も簡略化するなど、まるで「ピクニック」のように、誰でも気軽にチャレンジできます。
野外やお出かけ先で抹茶を楽しむ方法をご紹介します。
野点の魅力とは
自然と一体化する心地よさを味わう
四季が豊かな日本人らしい茶文化のひとつ。
日頃の忙しさでざわざわしていた心が、次第に落ち着いてくるかもしれません。
「一期一会(一生に一度きりの瞬間を大切に)」を楽しむ
登山の合間や花見など、近くに居合わせた人たちとの交流が生まれることも。
準備リスト
茶道具を持っていない場合でも、代わりに身近な物で代用することも工夫であり、アレンジする楽しみのひとつです。これを茶道では「見立て」と呼びます。
必須アイテム
- 茶碗(又はカフェオレボール)
- 保温ポットとお湯
- 抹茶
- 茶筅
- 布巾 / マット(敷く用)
- スプーン/ 茶杓
- 懐紙 / ハンドタオル / ティッシュなど(拭く用)
あれば使おう
- 好きなお菓子 / おやつ
- レジャーシート
- 荷物をまとめるカバンや籠
- 他:茶漉し(抹茶を篩かけたい場合)
紙皿 / お菓子用の器
持ち帰り用のゴミ袋…など
初心者でも大丈夫。野点を楽しむコツ
山の中や水辺、公園の東屋や宿泊先のテラスなど、目的地を決めたら、現場の環境を想定しながら準備するところから野点の楽しみは始まっています。
お茶とお菓子のペアリングを自由に考えられるのもカジュアルな野点の醍醐味。
抹茶は、お弁当の後の口直しやお酒の後の酔い覚ましにもおすすめです。
茶道具を持ち運ぶには
- 布やティッシュを緩衝材として道具を丁寧に包む。道具は重ね合わせてコンパクトに。
- 茶筅、茶杓、スプーンは傷まないよう、布巾でくるみ、タッパーなどでまとめましょう。
- 茶道具をカバンや籠に詰める際には隙間のないよう収納しましょう。
楽しくアレンジしよう
- 好みの柄のハンカチでお茶碗を包むなど、割れない工夫も楽しく。
- 日常にあるものを活かすうち、使い勝手のいい道具が徐々に見つけていって、「マイ野点バッグ」、「我流の野点セット」を作り上げるのも楽しみになります。茶道のエッセンスを本格派に取り入れたい方には、茶箱や茶籠、野点向きの茶道具を揃えると気分が上がりますね。
片付け
- 抹茶を飲み終わったら保温ポットに残ったお湯で茶碗、茶筅を軽くすすぎ、布巾などで水気を取りましょう。
- 環境を配慮して、ゴミなどは持ち帰りましょう。 「来たときよりも美しく」。日本人が子どもの頃から学校で教えられる合言葉です。
丁寧にしつらえられた茶室で作法に則って行われる茶会も、自由に工夫を凝らして気軽に楽しめる野点も、四季を感じてこの瞬間のために用意されたお茶やお菓子でお互いの心を通わせるのは同じ目的であると言えます。
一人でお茶を点てるときも、鳥のさえずりや木々を揺らす風など、その一瞬一瞬の自然の事象に耳を傾けながら、心身ともにリラックス。同じ場所でも季節によって景色が変わり、同じお茶を味わっても自身の心境で感じ方の変化に気付くかもしれませんね。
みなさまもそれぞれの楽しみ方が見つかりますように。